Hello, my mars.

ジャニオタ備忘録(語るタイプ)

きみの息吹で花は咲く

滝沢歌舞伎2016  無事に幕が上がり、そして下りました。おめでとうございました。ほんとうに楽しい舞台を観させていただきました。そんなわけで林翔太くんの話をします。

 

1月にキャスト発表があり、They武道からは彼の名前しかなく実質ソロでの出演となったことについて、ファンの端くれとして不安がなかったといえばそれは嘘だ。なぜならわたしは未だかつてグループという枠を飛び出した林くんを見たことがなかったからだ。人は、未知のものに出逢うとき不安感を覚えるものだ。昨年久しぶりにフルメンバー*1で出演した際に彼らが主張した『グループ感』を今年は出せないのかという残念さ。そして、例年出演していた他グループのメンバーが多数出演しなくなったことで起こった「今年は林しか出ないのか」の声、名前の並びが後輩Jr.と同じ*2であることに対するなぜ!?の声には、不安というより不満だった。林くんに仕事が決まったことを純粋に喜んでくれた人はいったいどれくらいいたんだろうなんて考えて。今思えば、自分自身がもやもやしていたからこそ、そんな言葉に過敏になっていただけなのだけれど。

しかし、幕が上がり、舞台に立つ林くんをこの目にした瞬間に、それはじつにどうでもいい杞憂だったのだと思い知らされる。

 

 

 

Maybe

まず、『Maybe』で見た林くんは、わたしが今までのステージで知っていたバックダンサーとしての林くん、の真骨頂だったように思う。主役として圧倒的な存在感を発揮する三宅健くん、曲の情感を感覚で己に取り込みまるで台詞付きの芝居のような素晴らしい演技力で踊る佐久間くん、という面子の中で、林くんは曲の“世界観”をつくりあげる重要なパーツとなっていた。愛する人をちゃんと愛したいのにかつて失った恋に傷つき怯えている男、の、「切なさ」「苦しみ」といった無形の感情をダンスで演出する。それは、Maybeの世界に広がり溶け込んで、「俺*3」と「君」という有形の存在を浮き彫りにする。バックに求められる要素のひとつとして、“空間演出”があると思うのだけれど、林くんはそれがとてもうまい。彼自身だけでも申し分ない綺麗で洗練されたダンスで、かつ主役を食うことは決してしない。全体から悪目立ちすることなく、けれどたしかに光っていてかけがえのない存在となる。林くんを見ていると、彼個人だけじゃなく作品そのものを好きになれる。林くんの前で歌い踊っている健くんは最強にかっこいいし、林くんとシンメで踊っている佐久間くんはなんて美しいんだろうと思える*4

それでもわたしは林くんが見たいから双眼鏡をのぞくと、林くんの一つ一つの所作にいちいち魅了されるから困る。♪I just wanna~ の重心の移動のさせ方はきっと林担ならだれもがお気に入りだろう(偏見)し、♪~again でそっと目を閉じるのもたまらない。要所で目を閉じていたのは印象につよく残っている。他にも ♪重さ図りながら で頬を叩いた指を ♪疑ってきた愛 ですっと下ろすとき。♪君の笑顔が視界を塞いでいた闇を*5でびしっと前方を指さすとき。腕と指先は力強く前へ伸ばされるのに瞳は暗闇に堕ちる。体だけでなく目でも表現するのは林くんの得意とするところだと思う。♪遠ざけては追いかけていたもの は対照的に目が指先を追いかけ、これほど焦がれた表情はないと、こちらの切なさを煽ってくる。ひとつずつ書き出したらキリがないのが一番の悩みどころ。あ、♪必然の奇跡か で前に出てくる動きは足の長さがこれでもかと強調されていてときめきが止まらなかった。

 

Seasons

林くんの武器である「歌」が聞けたこのシーン。最近増えてきたとはいえまだまだ少ないお披露目の機会が、長年出演してきたこの作品で巡ってきたのは本当にうれしいことだと思う。

ソロパートがそれほど多いというわけではないが、大事なところで前に出てくる林くんには大きな安心感を覚えた。林くんの歌声は、清らかで透き通っていてまっすぐ伸びていく印象があって*6、だからジェシ京の美しい掛け合いのあとっていうのは最適な位置だったのではないだろうか。Seasonsの林くんの歌声には清涼な風を感じた。一瞬で目が覚めて、一面に広がる美しい花々の野原がさぁっとなびくような。今回いっしょに歌っているジェシーくん、京本くん、増田くんもとても歌が上手でそれに甲乙をつけるなんて愚行だが、わたしはやっぱり林くんが好きだから、林くんにしか起こせない風だ!なんて思ってしまった。♪flowers bloom ではやさしくやわらかに花を咲かせて。手首をくるっと回して手でも花を咲かせていた。

林くんは舞台上での自分の魅せ方がとってもうまくて、その場に応じた構え方ができる人。序盤のコーラスではさりげなく華を添えるけれど、サビの長ソロパートで前に出てくるときは確固たる主役感を醸し出し劇場をものにする。そういう意味でSeasonsは『Maybe』と『お化け』の中間地のような感じがした。サポートとメインとどっちも見られるおトク感。

 

お化け

そして全演目中もっとも衝撃を受けた『お化け』。開幕前に雑誌で「一人芝居をやる」とは言っていたが、まさかの怪談・まさかの5分間独壇場という、こっちの処理能力を超える展開が待ち構えていた。何せ、彼がひとり主役の舞台なんて、こちらはクリエのソロくらいでしか経験したことがない。

木こりの青年・巳之吉に襲い掛かる悲劇。彼に惨殺された娘・おふゆは復讐心から雪女と化し、愛憎で巳之吉に惨たらしい制裁を与える――そんな物語を、語り部が観客に聞かせ伝える。 林くんはこの世界を、ひとり3役で作り上げた。

己の過ちから悲劇を招いてしまう青年・巳之吉は、「待ってくれ!」と言い訳を口にしようとするのがとても愚かだった。痛みに耐えかね叫んだり、床に転げてのたうち回ったりと、まさに体を張った演技をしていた。苦しみ呻く声が痛々しいが、わたしは煩悩のかたまりなのでなんともセクシーに感じてしまい(転げているとき腹チラとかもしてしまうのは必然の奇跡か)なんて倒錯的なエッセンス…。

青年を愛するあまり雪女と化してしまった娘・おふゆは新境地とでも言うべきか。もっとも感情の波が激しい役で、何もかもを凍らせつくしてしまいそうな強い恐怖を全力で演じていた。何よりも恐ろしかったのは林くんがちゃんと女の表情をしていたということである。声や台詞だけでなく視覚的にも女であることが分かったから、この物語にすんなりと引き込まれていけた。憎しみだけでなく、引きずり続ける愛情と深い悲しみと。うっかり雪女ではなくおふゆちゃんのことも考えてしまったのは林くんの顔と声のせいだ。

登場人物ではない傍観者の位置にいる語り部は、あちら(悲劇)とこちら(我々の世界)を上手に行き来して繋いでいた。はじめはフラットに文字を読んで、中盤は声を荒らげ巳之吉の痛みとおふゆの恐ろしさを宿したように。そして一番最後「今、あなたの……」の台詞は最初のテンションに戻りながらも息が上がっていて、まるで物語の続きをにおわせるかのような雰囲気を纏っていたのが絶妙だった。

3人いるのだから、当然三様の感情があるわけで。それをうまく見せていた林くんに目も心も奪われた。それぞれが独立した存在でありながら、ひとつの物語として切れ目なく、違和感なく演じ分けていて。とくに前半の巳之吉・おふゆの掛け合いと語り部の読みは、グラデーションのような綺麗な流れでありながら決して境界を見失わせない理想的な演じ分け。なんとこのクオリティを全日程損なわず、後半になって前半を振り返れば「今もいいけど最初からよかった」と思わせてくれるのだから、こんなに満足なことはない。使い分けられた声色と枯らすことなくつやを保ち続けた喉は、生まれ持ったものももちろんだが、今日までの舞台経験と歌を練習し続けたことがもたらしたものだろう。ただの一回だって噛まずにつっかえずにやり遂げたことも特筆したい。

では、初日から何も変わらず?というとそんなことはなく。ずっと高品質、の中でも日を追うごとによくなっていったのもたしかだ。おふゆの怖さだけではないせつなさがどんどん溢れ出てきたのだとか、語り部の抑揚やイントネーションだとか、ここまでくると林担にしか分からない細やかな変化なのかもしれないが笑、100で十分なものを120にも150にもして仕上げてくるのが林くんの魅力で、いつ見ても飽きさせてくれなかった。

 

ほかにもいいところはたくさんあって、よくないところなんてなくて。『いにしえ』で赤布を空に放つところ。『浮世艶姿桜』の群舞、♪また巡ってゆくこの世さえ の振りとか絶品だった。2幕『鼠、夢小判』の京本くんとの下っ引きコンビのかわいさは宇宙を救うレベル。WITH LOVEの優しい顔にはいつも泣かされそうになる。最後にてのひらを人差し指で辿るところ、腕伝いに下がっていく指の行く先まで目で追いかける林くんが大好き。とか。言い出せばキリがなくなってしまう。

 

林くんにこんなにも見せ場があった舞台は今までなかった、けれど見ている間はそんな背景などすっかり忘れさせてくれたのは林くんのすごいところ。場面ごとに自らの在り方を分かっていて、いつも堂々としているから。努力してないわけなんてないのに、その跡を見せびらかすことは決してない。プレッシャーも困難もどこ吹く風、みたいな顔でステージに立つ林くんは、激烈にかっこいい。*7

師匠と慕う滝沢秀明くんと、ジャニーズ入所のきっかけとなった三宅健くんと同じ舞台に立ち、背中を見て、またひとつ成長したのであろう林くん。連載での「全力でサポートします」って言葉も、口上での言葉も、キラキラと輝いていて、その通りに大義を成し遂げた春。そんなふうにわたしは、しかと!見届けました。たのしかったなー!そして何度目か数えるのも果てしないくらい惚れ直した!滝沢歌舞伎と林くん、2016。

 

本年も、日本の伝統文化・和のジャニーズエンターテイメントショーに携われること、心から嬉しく思います。そして、滝沢くんに選び続けてもらっている想いを、熱く熱く胸に刻み込み、日々精進していく所存でございます。8年連続の出演・林翔太! 

 

 

 

そしてそして、ひとりの役者として大きくなった林くんが、今度はThey武道の林翔太として。グループにどんな輝きをもたらしてくれるのかが、楽しみでなりません。その瞬間はもうすぐそこまできている、そんなワクワクを胸に抱いて未来へ向かおう。


*1:山本亮太・江田剛・林翔太の3人からなるThey武道。山本はSHOCK・江田林は滝沢歌舞伎という状況が数年続いた

*2:0.5行分のスペース開いてたけど。絶妙。笑

*3:歌詞に一人称は「I」しか出てこないけれど、僕 より 俺 な気がする

*4:佐久間くんに関しては元佐久間担ということもあり、言葉ひとつじゃ片づけられないほど単体でも好きすぎてしまうのだけれどw それはまた別の話。

*5:どのカウントでやってたかはっきり覚えてなくて区切れない

*6:歌の世界観でいくらでも表現変えてくる人だけど!

*7:雑誌で「緊張しないほう」と言っていたけれど、それはもともとのハートの強さはもちろん、林くんが普段からちゃんと努力してちゃんと練習しているからだと思う。誠実さはステージからちゃんと伝わってくる。