Hello, my mars.

ジャニオタ備忘録(語るタイプ)

しあわせはきっとぼくらの手の中に〈アンダースタディ〉

きれいな男の子がすきだ。

ジャニーズおたく10年生として、それは至極当たり前の感情なのかもしれない。きれいな男の子がすき。顔がきれいな男の子。身体がきれいな男の子。目がきれいな、声がきれいな、踊りがきれいな……テレビやドラマ、舞台を見たとき、世の中には、きれいな男の子がたくさんいるのだといちいち感心する。

そしてこの夏にも、見た。

 

(舞台『アンダースタディ』を忘れないための感想)

 

 

 

『アンダースタディ』の三人はとてもきれいな男の子だった。

ダイキ・コータ・シュンの三人は、物語の中で、煌めく舞台で光を浴びることのない「稽古場代役」として奮闘していた。自分の立場のやりきれなさにもがいたり苦しんだり、恋心にやきもきしたり。いろんなことに悩みながら、その途中で、ひとりだけが舞台に上がれることになる。しかも主役として。おどろき、とまどって、喜んで、調子に乗って、落ち込んで。時間は彼らの感情などお構いなしに進んで、ぶつかって、綻んで結ばれて、舞台は幕開きを迎える。

ざっくり言えばそんな舞台だった。(だいぶ偏りながらざっくりしてるけど)

 

彼らは悩みまくっている。それくらい過酷な環境に身を置かれていたと思う。「稽古場代役」というのは劇中の説明のとおり、台詞を覚え演技のクオリティを上げながらも、本役として舞台に立ち聴衆の目前に現れることを許されない。ライトも浴びれない。それでも稽古場では様々な役回りで必要とされて……。「役者として」のアイデンティティが揺らいでしまいそうな。おまけに主役はこんな役者っていうか人間存在するのかよ!?ってくらいへたくそのドくず(ごめん)(彼の名誉のため?に言えばバラエティで人気が出たタレントであり、親が金持ち)。まして三人は夢を志したばかりの若者だ。簡単に割り切れるものではない、そんなことを劇中では、演出助手が「複雑な立場」の一言で表現する。

三人はお酒の力を借り、心のもやを晴らすように喧嘩をして笑いあって、不平不満はそれぞれにあるけれどやっぱり頑張ろう!と気持ちを立て直したところで、また過酷さに直面する。主役の降板により、アンダーを務めていたシュンが突如主役になる。よりによってシュンが。ダイキとコータにとって後輩のようなポジションで、精神的には引っ張ってあげるような子だったシュンが!シュンちゃん(および中の人)推しとして彼のことを悪く言いたくないしべつに悪いわけではないが、ダイキとコータのことを考えるとうわぁ……って幾度もなった。はじめは喜んで稽古に邁進した三人だったが、立場が変わったことによりぎくしゃくとした空気が漂い始める。当たり前だと思う。突如として変化を求められたのだから。誰であっても当然のように味わう悔しさであり、一方でも、突然ひっぱりあげられただけで急激にそれに見合う中身にはなれやしない。

でもそれが、「稽古場代役」という役回りなのだ。

具体的に言い出せばもっとある。徹夜で考えたダンスが周りに好評でバックダンサーとしての出演を許されそうになったが、掴みかけたチャンスは演出家によってバッサリと却下される。「アンダースタディは裏方だ」という台詞付きで。ダイキは本役の新人女優・ミライに恋をし、しかし自分の立場を鑑みて遠慮する。それなのにシュンもミライを好きになり、しかもシュンは本役になったことで遠慮なくミライにアプローチする(もともと遠慮を知らない節もある)。ほんのり両想いっぽいことまで分かっているのに。ダイキとコータは本役となったシュンに、やっぱりできない、と泣きつかれる。自分たちがほしくてたまらない位置に立ってるシュンがそこから甘えてくるなんて。シュンだって悩んだ。ずっと仲間だと思っているふたりと突然立場が分かれて、いろんな人に主役なんだからと区別され、立ち位置の実力の差に焦り、誰にも相談できなくなっていた。ダイキとコータに甘えようにも二人は冷たい。

挙げれば挙げるほど地獄である。

 

しかし物語はハッピーエンド。

そして、彼らは恐ろしいくらいに、きれいだった。

 

三人はそれぞれにとてもいい子なのだ。ダイキはリーダー的役割を自ら引き受け、それは自分たちが道を間違えず公演を成功させるためであり、統率というよりは奉仕に近い。自己犠牲に振れるほどで、優柔不断で時に損な性格だが優しい子。コータの想いは誰よりも熱く、多少嫌味な言い方をしてしまうのがキズで二人と衝突することもあるが、言い躊躇いがちなことも口にすることができる。自己反省もする賢い子。シュンは誰より子供っぽく短絡思考で直情的だが、同時に誰よりも無邪気。重くなった空気を持ち前の愛らしさで明るく変えてしまえる素直な子。

この、「いい子」たちが三人集まって、もちろん悪いことをするはずがない。しかしながら、彼らを待ち受ける様々な困難はもう魔が差してもおかしくないくらいなのに、彼らは驚くほどずーっといい子たちのままだ。

稽古場代役として初めて召集された三人は、役割を引き受けたときに手のひらを重ね合わせて「何があってもガタガタ言わない!」と誓い合う。実際、三人だけの場で不平不満をぶつけ合うことはあっても、稽古場で本役に立てつくことはなかった。そして、重ねた手のひらのように、彼らは最後まで互いに力を携え続け、わたしが地獄と揶揄してしまった状況を乗り越えていく。

 

物語は初日前まで進む。演出家に成長と才能を褒められながらも「主役のオーラが足りない」と告げられたシュンは、立ち尽くして悩んでしまう。稽古場代役の持ち回りとして掃除をしている二人にわざと明るく溶け込もうとしても二人の態度はつれない。やっと誘いに応じてもらって立ち飲み屋で合流しても相変わらずで、「シュンは主役なんだから」と言われてしまう。そこでシュンは抱えていた気持ちが爆発し、焦りや不安、「主役なんて降りればよかった」とまで口にしてしまう。

ここの打開がほんとうにお見事で。コータが「じゃあ降りれば?」とシュンを冷たく突き放し、ダイキとコータはそれぞれ、劇中の長台詞をその場でやってみせる。それはシュンの見せ場の台詞だった。ダイキが告げる。「俺らはいまやシュンのアンダーでもあるんだ」――そんな二人の対応がすごい。シュン*1の稽古場代役だなんて複雑な立場を、それでも二人はきちんと引き受けて本来の役割と二足の草鞋状態でやってきたのだ。だから飲みに誘われても(物理的に)乗れなかった、というのもそうだが、あえてつれない態度を取ったのは、シュンに対する演出家のダメ出しを二人もその場で聞いていたからではないのかな、と思う。主役のオーラ、傲慢さがない。いつまでも二人に甘えているシュン、自分たちに混ざりたいシュンを肌で感じていたから、お前はアンダーじゃないんだと大げさに線を引くように突き放つ。まるで子どもを崖から突き落とす野生獣みたいだと思った。愛情ゆえなのだ。それでもなおシュンは甘ったれて言葉を求めてくるから、いつだってお前の後ろに代わりがいる(だからこそお前がやるしかないんだ、危機感を持て)と背中を押すような二人の男気に乾杯。

対するシュンの返答もすごい。「ありがとう、なんだか元気出た!」キョトンとするダイキとコータだけれど、シュンはとっても晴れ晴れとした表情をしている。キョトン顔が物語るとおり二人にとって意外な反応だったのだろう。でもシュンはすっきりして、「元気出た!」のだ。その顔がほんとうに、いい。なぜだろう?シュンにとってそれは、自分のそばには二人がいてくれるという安心につながったのではないかと感じた。シュンは、ずっと二人に相談したくてたまらなかったわけだし、ひとりだけ本役に選ばれたことで孤独を感じてしまったのかもしれない。主役は想像以上の重量で、自分の器だと溢れてしまいそうで。けれど、二人が(代役ではあるが)自分と同じ役同じセリフを密かにこなし、目前で堂々と演じきってくれたことで、ひとりきりでこの役を背負っていたわけではなかったことを知る。それは、自分の替えがいるという危機感ではなく、ずっと避けられていると思っていた二人がほんとうはちゃんと見守ってくれていたんだという、「ひとりじゃない」という安心感。シュンはダイキとコータが精神的支柱であるのだから、それなら余計な力を抜いて頑張ることができる。とんだ甘えん坊理論だが、そんなシュンはイノセントで愛おしい。

 

ただしシュンの甘えん坊がそこで治るわけではなく、それが訪れてしまったのは本番のさわり直前・舞台裏にて。一旦はけてきた主役衣裳のシュンは緊張やら何やらでいっぱいいっぱいで、ダイキと目が合った瞬間にダイキの腰に飛びつきうずくまってしまう。「ダイキさん、コーちゃん、どっちか代わってくれよ」課題のシーンが近づいて追い詰められ思わず叫ぶ。そんなシュンのことを、お前ならできるよと撫でて宥めるダイキはダイキらしく、無理に立たせ殴ってバカ言うなと叱責するコータもコータらしい。お互いに役割が確立されている。ここで出てくるのが「恋愛」だ。泣きじゃくるシュンの顔を持ち上げさせて、いいこと教えてやる、とダイキが切り出す。

「俺ミライちゃんに告白して振られちゃったよ!彼女はシュンのことが好きらしい!」

まったくの嘘である。ダイキはシュンを奮い立たせたい一心で、わざと自虐的な嘘をつく。シュンは嘘に気づかずに、主役を全うしかっこいいところを見せなければと再起する。ダイキの思惑通り。ここからの展開は予想に簡単だが、シュンは無事に舞台を成功に収めミライをデートに誘う。ダイキもいる場所で、ダイキの言ったことをそのままミライに伝えたものだから、ミライはすべて察してシュンの誘いを飲むものの、シュンが先に立ち去ったあとダイキに涙を見せて去ってしまう。

ダイキはこの瞬間、友情を手に入れる代わりに恋を失った。自分にとって一番残酷な方法で、ダイキが一番望んだ「公演の成功」を実現させたのだ。

 

羨望も、挫折も、情愛も、ぜんぶぜんぶ、友情に消費されていく。

 

捻くれてるからなのか、こんな「いい子」である必要あるのか?って観劇中何度も思った。演劇はチームワークとよく言うが、だからといってアンダーの三人は将来を共にするグループではない。俳優という一個人として、もっともっと競っていてもいいのでは?これは勝手な想像にすぎなかったが、バックステージものということでもっとドロッとした感情も描くのではないかと思っていたし、というかその方が人間的に自然なのでは?これは今考えても同意見だ。ダイキがここまで自分の感情を犠牲にすることはないと擁護したくなる。コータははじめ嫌な奴という設定だとパンフや雑誌であったのに蓋を開けてみればめちゃくちゃいいヤツじゃないか。言うとことは言う、でもダイキの愚かな行動を、状況やダイキの気持ちを慮って最終的には止めずに見守る*2。シュンに至ってはあんなイノセントな成人男性、現実に探すのは困難を極める。

今でも思う、思うんだけど。

それでよかった、なんて感じさせてくれるのが物語における後日談。

 

三人は野山を駆ける。途中でシュンが夢中で草むらを探り出して、置いてくぞと笑いながらまた走り出すダイキとコータ。「あった、あったよ!」二人の背中を追いかけるシュンの手には四葉のクローバーが握られている。そして辺りは暗闇。ダイキの先導で三人は崖のある丘を降りてゆく。遠くから漂ってくるのは女声のアナウンス。たどり着いた場所で見上げた空には、大輪の花火が咲き乱れて――

この場所、稽古中に行ったレクリエーション「2分間スピーチ」にてダイキが語った思い出の場所なのだ。地元・新潟、親にも秘密のとっておきの場所。そこから見る花火がお気に入りで、できれば好きな人と一緒に行きたい!なんて、ミライのことをほのめかすように語った。その場所に、三人で、来た。コータと、シュンと、三人で。

いいのか!?ダイキそんなんでいいのか!?ヤロー三人だよ!?好きな人と一緒にこれなかったじゃん!?ってなるところなんだけど、花火を見る三人の顔がこれ以上にないほどキラキラしているから、いいんだ……って納得してしまう。大興奮のコータとシュンに、得意げなダイキ。はしゃぎまくってバランスを崩すシュンの腕を掴んで支えるコータ、「そこ崖だって言ったろ!」とダイキ、へらりと笑って「えー?」と聞き返すシュン。子供を崖から突き落とす、なんて風に見てたわたしには、それでも三人は対等な関係としてみんなで崖の上にいるんだ……ってうっかり涙してしまう温かさで。*3

――それから幾年かが経過して。一回り成長した三人は、稽古場代役として頑張っていた場所に立ち戻り、「あのとき」披露が叶わなかったけれど三人で作り上げた思い出のダンスを元気いっぱいに踊るのだった。

幕。

 

『アンダースタディ』がハッピーエンドを迎えられたのは、ひとえに、三人がどこまでも「いい子」であったからだと思う。妬み嫉み・裏切りがなかったから。舞台を終えたシュンを抱きしめるダイキ。コータがシュンに言う「友だちとして誇らしいよ」。シュンは涙を浮かべて「コーちゃんがともだちって言ってくれた!」と喜ぶのだった。その、いろんなものが消費されて積み上げられた、どこまでも純粋な友情。ダイキとコータばっかり損して、シュンはただ得をしただけ!なんて見方は三人を前に邪でしかない。シュンがぶつかる二人をやわらかくさせる素直で愛らしい存在であったから、そして二人の想いに応えるように堂々と主役を務めあげたから、もうそれだけでいいのだ。シュンはしあわせを握りしめて二人のもとへ走るのだから。

やりきった三人はとてもきれいだった。これほど尊い存在は稀有であろう。青空にきらきら、太陽の陽射しのように。夜空にギラギラ、花火のように。この夏は一度きりで、彼らの青春は過ぎ去ってしまうとしても、季節さえ消費されて永遠の友情になるのかなぁ、なんてことを考えた。

 

きれいな男の子が好きだ。

『アンダースタディ』の三人はとてもきれいな男の子だった。

一度しかないこの季節に出逢わせてくれたことを、高田翔くん、仲田拡輝くん、林翔太くんの三人にも感謝しています。この三人もとってもきれいな男の子でした。ありがとう、なんだか元気出た。

 

 

(はやし担らしくはやしくんの話がしたい)

稽古中の雑誌取材でも言っていたようにここまで共通点のない役*4を演じるはやしくんを見るのは初めてで、新鮮で、驚きもあって、ずっとずっとたのしい1週間*5だった。お芝居はどうなんだろう、絶対大丈夫だと思うけど外部舞台のはやしくんなんて見たことないからどうなのかな、って思ったりもしたけど、やっぱり絶対的に大丈夫なんだよねぇ。お芝居も、ダンスも歌も、とってものびのびやっているように思えて、それはヘンに力まず見れるということで、はやしくんの実力様様ということなのである。何にも考えずにシュンちゃんに没頭できたのははやしくんのおかげなのでした。

シュンちゃんはかわいい。それはもうとくべつにかわいい。現実で出逢ったことのないような、真っ白でまっすぐな天使のような子で、上でも書いたけれど、シュンちゃんに出逢わせてくれたはやしくんには感謝しかない。はやしくんが出逢わせてくれたシュンちゃんだからこんなに愛おしいのかもしれないね。自担だからどうしてもそうなるんだけど笑

パンフレットではやしくんが語っていた「シュンもアンダースタディに選ばれただけの理由がある」って言葉が好きで、はやしくんはそれをちゃんとシュンちゃんで体現することができていたと思う。甘えん坊で子供っぽいシュンちゃん。だけど、台詞を放つシュンちゃんは普段と別人のようだし、ダンススキルはもちろん、ちらっと聞ける歌声も主役に相応しい。そして、ふにゃふにゃしててもちゃんと努力家で、物事をやり遂げる力がある。それははやしくんにも言えることだと思うし、なんだ共通点あるじゃないか。はやしくんだからこそ作り上げることのできたシュンちゃん像なのだと思う。

初めての外部舞台、でも千穐楽カーテンコールのはやしくんの挨拶はほんとにいつものはやしくんで、周りの人にたくさん感謝して、いろんなところにいる人の想いをぜんぶ分かっていてくれて、ほんとうにそういうところが好きだな……って思った。

いつの公演も、そのときどきの最高を見せてくれるはやしくん。いままでのいつも通りのはやしくんと、新しい世界のはやしくんと、いろんな新しい発見をありがとうございました!10月更新の連載でシュンちゃんを存在させてくれたこともものすごくうれしかったです!ありがとうありがとう!すきすきー!だいすきー!(もうこれを言いたいだけじゃないか)

 

 

*1:劇中でシュンはダイキの後輩とはっきり言っているし、コータとシュンの会話の感じから上下関係はともかく弟的存在であることは間違いない

*2:ここでは余談かもしれないが仲田拡輝の「バーカ」、最高の演技だった

*3:その前の、ダイキさんがヘッドライトでシュンちゃんコーちゃんの足元を照らして「そこ崖だからな~」って茶化すのと、コーちゃんがシュンちゃんに先を譲って危なくないように指示してあげるのも、同様の理由で以下略

*4:富樫さま@滝沢歌舞伎のほうが共通点なくない?ってツッコミは絶対にダメだ

*5:マイ初日~千穐楽