雑記の表紙はグリーン

ジャニオタ備忘録(語るタイプ)

その瞬間 愛が歪んだ

「絶対に負けられない戦いが、そこにはある」という、有名なフレーズがある。しかしわたしは、「絶対に勝てない戦い」もあると思う。というかある。それを知っている。それをしている。

 

わたしと彼の視線が重なった数秒にも満たない刹那、戦いの火蓋は切って落とされた。頭の中でゴングがひとつ鳴る。彼は、とんでもない殺傷力を武器に宿らせている。ほんの少しでも触れようものならアウトだ。ひと突きで急所を射抜く鋭い槍のような、ガウンと低く響く銃のような、あっという間に致死量に達する毒のような…はっきりとした形はないがどうとでも形容できそうに混乱する殺傷力を。わたしは彼に負けたくなどなかった。目をハートにして転がる尸の山を見ながらああはならないと強く心に決めた。ぎゅっと彼を捉えるための携えを握る手に力を込め、照準をあわせる。

しかしわたしの決意などあっという間に脆くも崩れ去った。彼から放たれる鋭い光線がわたしを貫いたのだ。だめだ。痛い。苦しい。勝てない。開始と同じように頭の中で鳴り響く、今度は何度も強く叩かれるけたたましいゴングを感じながら震える手で白旗を地面に突き刺した。彼はなおも攻撃の手を緩めない。どこまでも容赦無くわたしに微笑みかける。わたしを殺したその強い瞳で。

 

人はこれを負け戦という。しかしわたしはそれをとっくに承知で、おろか享受していた。負けたくないと言いながら負けると決まっている戦に挑む。負けたときのどうしようもない快感が忘れられないからだ。笑顔。ウインク。ぎゅっと眉間に力を込めた真顔。指差し。手で象ったうさ耳。重力をグッと感じるダンス。松本幸大という男のすべては、人々を魅了するためにある。

わたしの目に映る松本幸大は憎らしいほどにアイドルだ。美しい顔。逞しい肉体。癖のある歌い方でさえ。きっと舞台を降りれば普通の男性であるはずなのに、舞台に立つ彼はその香りを微塵も漂わせないパーフェクトボーイ。そんな風に言えてしまうのは、もしかすると、ほんの側面しか見れていないからなのかもしれない。*1直視できない輝きがある。そんな彼に、果たして勝つことなど可能なのだろうか。そもそも、ただ観るだけ、目があってしまうことを、「戦い」と称する必要はどこにもないのかもしれない。でもわたしが松本幸大と対峙するにはそれくらいの労力が必要だと感じている。疲れる。でも見たい。

松本幸大が、アイドルを選び続ける限り。わたしはまた負け戦を挑む。白旗を後ろ手に隠し持ちながら。

 

松本幸大くん、26歳の誕生日おめでとうございます。お名前のとおり、大きな幸せをつかむ1年となれば幸いです。これからもこの拗らせた気持ちを胸に抱きながら、ご活躍を拝見していく所存です。

*1:ほんとうにちゃんと松本くんを見ている人は彼のもっと素敵な本質を見ているのかもしれないがわたしはそれができない。